「あなたがディアン帝国まで気遣ってくれるのは意外でした」
ライベルトはあたしを椅子に座らせると、あまり距離を取らないまま話し出した。
「そりゃ、あたしも誘拐されたりしたし、ディアン帝国にあるのはいい感情ばかりじゃないけど。せっかくの力を独り占めするのはずるいと思っただけだもの」
地球だってそうだけど、争いの種は領土や資源が主だけど。やっぱり食料問題も重要だ。生きていく上で水や食料は何より大切だから。
だから、あたしの力が活かせるならそれに越したことはない。そう話せば、ライベルトは重い口を開いてくれた。
「確かに、俺の生まれたネクサイはろくに収穫できる作物がなかった……ひもじさに耐えながら必死に生きる人々のささやかなご馳走が、年に一度の祭りで出されるアンダトルなんです」
そして、彼は自分のことを話してくれた。
セイレスティア王女であったライベルトのお母様。彼女がディアン帝国に后妃として嫁いだのは和平の象徴としてだけど、結局それが無駄になって数年後に戦が起こって。彼女は后妃でありながら、僻地とも言えるネクサイの離宮に幽閉同然で隔離された。
刃を交える敵国の王女。妻とは言えど、気を許す訳にはいかなかったのだろうけど。あまりに哀しい出来事だ。
幽閉先で生まれたのはライベルト。無論皇帝陛下の息子ではあるけど、公式に認められない皇子で。ディアン帝国貴族の母を持つ兄皇子と比べ、不遇な幼年期を送ったみたいだった。



