異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。




「ユズ様……」

「様、なんて他人行儀な呼び方しないで。公式な場では仕方ないけど、せめてプライベートではそんなふうに呼んで欲しくないよ」


あたしは涙ぐみそうになって、必死にそれを堪えた。皇子に拐われた時に言われた言葉が胸に残ってたし、それに泣き落としなんて思われたくない。


それでも……


やっぱりあたしはまだたった16歳の女子高生なんだ。


いくら考えない様にしても、故郷の風景や友達や家族……置いてきたものに未練がないと言ったら嘘になる。


懐かしい光景を思い出しては、泣きそうな気分にフタをしてきた。


それができたのは、みんなが居てくれたから。あたしにもできることがあると知ったから。


そんな根っこの部分にあるライベルトとの絆が、そんなに薄いものだとは思いたくなかった。


「……お願いだから、そんなに突き放さないでよ」


あたしは必死に声を震わせないようにしながら、ライベルトに訴えた。甘えることは許されなくても、そんなに距離を取らないで……と。


すると、小さなため息がこぼれ落ちてきたから、思わずビクッと肩を揺らした。


「……全く、あなたには敵わないな」


少しだけ苦みが混じったライベルトの呆れたような声が降ってきたけど。恐々と彼を見れば、その顔には苦笑が浮かんでた。