異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。





「アレクシス、やめろ。ティオンバルトは弱ってるんだから」

「は、ライオネル兄はティオンバルトに甘すぎだ!」


アレクシス兄上は鼻を鳴らして兄を睨み付ける。ライオネル兄上は静かにその視線を受けていた。


「当然だろう。私はティオンの兄だ。可愛い弟の為なら幾ら非難されようが構わないさ」


そう話すライオネル兄上は僕の頭をゆっくり撫でて下さる。父にめったに会えない僕は、ライオネル兄上のそんな行動がとても嬉しかった。


けれど、アレクシス兄上の非難も当然だ。異界よりの【闇】は、この世界に重大な影響を及ぼす。


伝承では一時世界が滅びかけるほどの悪い影響があった、とあるんだから。


だから、僕がやらかしたことは決して許されることじゃない。

下手をしたら国を滅ぼしかねない行動だったんだから。


自分のしでかしたことの重大さをやっと理解した僕は、いたたまれなくて逃げたくなった。

けれど、それじゃああまりに無責任だ。と思ってアレクシス兄上とライオネル兄上に謝罪するため顔を上げた。


「……ごめんなさい。僕が変なことをしたから……兄上達に迷惑を掛けてしまって」


涙ぐみながら必死に謝る僕に怒る気が削がれたのか、アレクシス兄上は大きなため息を着いてやれやれと首を横に振る。


「ま、俺とライオネル兄でおまえを救いだしたし……おまえは持つ力で無意識に【闇】を跳ね返してたからな。影響はそうねえだろ。あんまり思い詰めるなよ馬鹿」


呆れた様なアレクシス兄上に代わって、今度はライオネル兄上がなぜか眉を寄せて僕を見た。

「ただし、お前は【闇】の一部を取り込んでしまっているんだ」