異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。




「えっ?」


いつの間にか振り向いたティオンに、手首を掴まれてた。


『君の今の言葉は、求愛と受け取っていいのかな?』


「は……ば、バカ! なんでそう一気に飛躍するのよ!!」


「お望みとあらば、君のご要望に答えるよ」


ティオンはにっこり笑う――その笑みが曲者というのを、あたしが知るのはすぐに。


「……って、ちょっと! な、何をしてるのよ!」

『何って。邪魔だから脱がしてるだけだよ』


いつの間にかティオンの手が背中に回り、ドレスのホックが外されかけてた。

す……素早い!


って。 感心してる場合じゃない!


「ちょ……ティオン! ひゃあ」

うなじに近い耳に唇を押し付けられ、思わず悲鳴を上げた。


『うん、いいね。ユズの悲鳴もぞくぞくするけど、もっと艶っぽく鳴かせたくなる』

「な……に言ってんの、変態! 離し……ひっ」


剥き出しになった背中を、ティオンの指がなぞる。寒気に似た何かがかけ上がり、体が震えた。


『かわいいひと。僕のために歌って……』