「そ……そんなの!」
『あり得ない……か』
ティオンがバルコニーに通じる窓を開くと、風が吹き込んできて彼の輝くブロンドを揺らす。
こんなに綺麗なのに。
こんなに哀しい。
『……僕が王太子なのはね、他に王子がいないから、って理由なんだよ。5年前に兄上達が亡くならなければ、僕は絶対に王位など無縁だった。
僕だとてそれなりに努力はしたけどね……いつもいつも兄上やライベルトには敵わない。
幸い魔力だけは桁外れにあったから、召喚の儀式に選ばれたけど。
僕が為しえたことなんて、所詮はその程度さ。
父上や母上も群臣も……皆ライベルトを王位にと望んでる。それは痛いほど解ってるからね』
優しくて強い。みんな、ライベルトに惹かれていくのは当たり前だよな、とティオンは自虐的に笑った。
……悲しげな瞳を見てると、胸がどうしようも痛くなる。
『もう、良いよ。ユズ。君を解放してあげる。無理に僕の側にいなくていいんだ。なんなら新年祭はライベルトの婚約者として披露をするから』



