「ライネス皇子と会ってたのも、仕事のうちなの?」
『そうだよ。彼は僕より貴い血筋なのは解ってる。だからこそ、ライベルトは特別扱いをひどく嫌うんだ。
彼は自ら進んでどんな仕事もこなすし、相当な努力を重ねてきた。
今の近衛隊長という地位も、参議として国政に関わるのも、僕や父上があげたモノじゃない。彼が自らの力で勝ち取ったものだ。
彼は、僕より……誰よりもセイレスティア王国であり、この国を愛してる。
僕が即位した後に機を見て王族に復籍させ、譲位しても良いくらいにはね』
だから、僕は彼を特別には扱わないんだよ。ティオンはそう話を締めくくる。
そして、肩越しにゆっくりと振り返ったティオンは……。
また、あの顔をしてた。
悪夢がきっかけで昔の事件を話した後の。
“僕じゃない誰かに話してごらん”と語った時の……切なく寂しげな瞳で。
『僕はとうに知ってたよ、ユズ。君が彼に惹かれていたことを』



