異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。




……って、ええ!?


ちょっと待って。待ってよ!

ライベルトはあたしに泣き顔を見せろと暗に言ってなかった?あたしの気のせい?


でも、それが本当なら彼は……。


って、妄想止め! 落ち着けあたし。




『その泣き顔を見るのは俺だけでいい、と言ったら?』


『……それが本気ならば、今この場であなたを斬る』


スラリ、と何かが擦れあう音。


まさか……


ライベルトが、抜刀したの!?


「ちょ……待ってよ! こんなブスな泣き顔が見たきゃ、いくらでもどうぞ。 2人とも気絶するまでとことん見ればいいでしょ……っきゃあ!」


あたしが皆まで言わないうちに、体が壁に押し付けられ、程なくして剣戟(けんげき)の音が響いてきた。


ああああ、もう。何してんのよ!


堪らなくなって急いでマントを外そうとしたけど、いつの間にかこんがらがって頭に巻き付いてた。


早く止めなきゃいけないのに!

早く外れてよ!! なんなのよこのややこしさはあっ!