「職場結婚みたいなものじゃないですか。仮にアヤさんが……女性を好きだったとしたら、結婚なんてしないでしょう」
「まあそうだな、あくまでウワサだよ、ウワサ」
「アヤさんは母の親友だったんです。彼女が犯人だなんて考えられません」

「なんで?」
「え?」

「なんで、親友なら犯人じゃないって言い切れるんだよ」
「友達を普通殺したりしないでしょう」

「普通ならな。でも仲が良ければ良いほど、周りには解らないトラブルとか葛藤とか嫉妬とか、いろいろあるんじゃないのか」

考えたこともなかった。
母とアヤさんは二人でひとつだと思ってたから。
言われて見れば、ずっと一緒に仕事をしていて、なにもないわけがない。

「水原アヤにも出てもらうつもりだったけど、イヤなら仕方ない」