兄さん…あなたはバカな人だ…。
「わざわざお電話ありがとうございます。」
こんなに綺麗な人になにも伝えず
一人でこの世を去ったなんて……
「鈴奈さんっ…終平兄さんは……」
僕は言葉をつまらせて、空を見上げた。
真っ青な空…入道雲…。
終平兄さん。
どーして…?
どーして消えたのですか?
「あの…勇誠くん?」
鈴奈さんが心配そうな顔をして
僕の顔を覗きこんでいた。
僕はハッとして鈴奈さんの方を向いた。
「ごめんなさい。えと…これを……」
僕は鈴奈さんの目の前に手紙を差し出した。
古ぼけて字も少し滲んで読みにくい…
それでも鈴奈さんはニッコリ微笑んだ。
「ありがとう、勇誠くん。」
そう言って優しく微笑んだ…。