「母さん、僕のお兄さんはどんな人だったの?」
僕は終平兄さんの白黒の写真を見て尋ねた。
父さんにも会った事がない僕にとって兄さんは
凄く気になる人だった。
母さんは僕の隣に腰を下ろして、
「懐かしい写真ね。終平の事が知りたいの?」
そう言って僕の方を向き、笑った。
「ちょっとね…」
僕は少し席を外して、終平兄さんの部屋へと
入っていった。
部屋にあるのは机と椅子だけ。
僕はその寂しい部屋の椅子に腰を下ろして、
机に顔をピタッと引っ付けた。
「終平兄さん……」
会ってみたかった……。
貴方に………