終平はもう、そのカーキー色の服に身を包んで、
帽子を深くかぶっていたんだ。
「行きましょう。鈴奈さん。」
そう言って私に手を差し伸べる終平。
「…………うん。」
私は小さく頷いて終平の手をとった。
すると、終平はにっこり笑って
ひまわり畑に手を振って歩き始めた。
「ねぇ…終平?どこに行くの?」
本当は聞いたらダメだったんだと思う。
それでも聞かないと気がすまなくて……
「誰も知らない場所…」
終平はそれ以降何も言葉を発することなく、
私の手を引いていく。
そんな彼の大きな背中が私の目に焼き付いた。
貴方は儚い蝉のように散っていくのですか…?
終平が急に歩いていた足を止めた。
私が思わず顔を上げるとそこに真っ黒な
電車が止まった。これ…鉄道かな?
あっ……そっか。ここ、駅なんだ。
私はふと目から涙が溢れるのをぐっと堪えた。
「行くの……?」
「はい……必ずここに戻って来ますから。」
終平はにっこり笑った。


