そして、それから何時間かして、
正午になった頃に私と終平は
蛍くんの病院へ向かった。
「鈴奈さん、こんな所にいて本当に村に帰れるんですか…」
私は終平の手を引いて、病院の10階の
エレベーター付近に待機した。
「大丈夫……もうすぐよ…もうすぐ……」
火事が起こるのはもうすぐ……。
ーーーブーッ…
火災報知器の音が鳴り響き、
水が上から降ってくる。
始まったんだ……
「鈴奈さんっ!火がっ…!」
終平は私の手を握って私達に迫る
炎から逃げようとした。
でも、私はそこから動かなかった。
「す……鈴奈さん?」
「ダメよ。ここに残るの。私達は。」
「でも………っ!」
私は慌てる終平の体を両手で包み込んで
にっこり笑った。
「帰りましょう。私達の居場所へ…」
私がそう言った瞬間、
廊下一面が大爆発を起こした。