家に着くと大人はみんな忙しそうだ。
こどもは見ているしかない。

お仏壇がある畳の部屋に
おばぁちゃんが運ばれ横になった。
そこでは口の中や鼻の中に綿をつめる。
作業する人が作業する前に
「少し汚いので見たくない人は移動してください。」といわれた。大人はみんな忙しそうだったから
うちだけこの場にいた。


何が汚いだよ。
ふざけんな。ひとのおばぁちゃん事なんで
初対面の人に汚いなんていわれなきゃ
いけねぇんだよ。
ふざけんじゃねぇよ。


うちは怒りに満ちていた。
口の中に綿をつめられている
おばぁちゃんを見るのは心が痛んだ。
だけどここで逃げちゃだめだって思った。
受け止めなきゃ。
そう思ってうちはその場から離れる事はなかった。