雨の日は、先生と

お弁当を食べていたら、教室に新野君たちが入ってきた。

「よっしゃー、小論おわった!」

「おつかれー。」

教室にいるメンバーが迎える。
学校に来ている人はやはり少なくて、席はまばらだった。


「こうちゃん、一緒に飯食おうぜ!」

「あー、ごめん。今日はこっちと食べるから。」


答えながら、私の元へと歩いてきた新野君。
彼に、クラスにいた全員の目が注がれる。

でも、新野君は気にも留めていない、といった様子で、私の向かいに座った。



「一緒に食べよう、な。唯。」



はっと息を呑むクラスメイト。
私も例外ではない。

唯、って―――

私が自意識過剰なのだろうか。



「あ、うん。」



かろうじて頷くと、新野君はにっこりと笑った。


「お、唯は弁当?いいなー、俺もそんなのがいい。」


新野君はコンビニの袋から、おにぎりを2個とパンを取り出す。

その自然な動きに、いつの間にか見ていたクラスメイトも視線を戻し始めた。

でも―――

ふと強い視線を感じて見ると、険しい表情の楓と目が合った。

一瞬合っただけで、お互いにすぐ離したけれど……。



「こうちゃんって呼ばれてるんだね。……新野君。」


「え?あ、うん。そうだよ。」


照れたように頷いて、彼は急にいたずらっぽい顔をする。


「こうちゃんって呼んでよ。」


「え?」


「そう呼ばなきゃ返事しないからな。」


そう言った後、新野君は急に無言になった。
なんだか気まずくなって、話しかけたくて。
でも……。


「えと、ね、ねえ。新野君。」


知らん顔で、彼はご飯を食べ続ける。
でも、目だけは面白そうに笑っている。


「新野君ったら。」


知らん顔のまま。


「……こ、こうちゃん。」


「なに?唯。」


満面の笑みを浮かべる彼に、私は戸惑いを隠せない。

どうして、

そればかりが頭の中を巡っていて。



周りはもう、私たちのことなんて忘れたように、振舞っていた。
みんな、それどころじゃないんだ。
受験が目前に迫っているから。

みんな、ごはんを食べ終わってから、すぐに参考書を開いて勉強し始める。

そう。
鋭い視線を向ける、ただ一人以外は―――