「え?あ、えっと…」

どうしてと改めて聞かれてしまうと、なんとなく戸惑ってしまう。


ちょっと沈黙して児玉くんを見つめていると。



「児玉くんそっちいるー?」

「見てみるよー」


という、女子の声がした。

その瞬間。


「ヤバッ!!」


と言った後の児玉くんの行動は凄く早かった。





「いるー?」

「見当たらないよー」

「靴がまだあるから、学校内にはいるんじゃない?」

「図書室かなぁ?」

「じゃあ探しに行ってみよっか」



私と児玉くんの耳に、女子数名の会話が耳に入る。


そんな私は。


その人達や外から死角になる靴箱の陰にいて。

目の前は壁。



そして、背中に感じるのは児玉くんの体温。


腕に感じるのは、背中からまわされた児玉くんの腕で。



狭い場所だから仕方ないのかもしれないけど、児玉くんに後ろから抱きしめられてる体勢だった。



「また夏休みに戻る前に、今日こそ告白しとかないと、夏イベント一緒に行けないし!」

「茉莉はほんっと肉食系だよね~」


なんて会話も気になるけど、それよりも、今の体勢の方が気になって仕方ない。