(あ、もういい時間かな)


 沙樹がふと時計を見ると、ちょうど八時になるところだった。


 カフェに着いてあれこれ考えていたら、結局コーヒーとサンドイッチしか口にできなかった。沙樹は波多野から受け取った携帯をバッグから取り出し、GPSアプリを立ち上げた。


 すると―――。


(ここは……西新宿?)


 逢坂がいると思われる場所が画面上に現れると、急に心拍数が上がったような気がして沙樹は思わず胸に手を当てた。


(逢坂さんがいる場所……)


 気持ちを落ち着かせて沙樹はカフェを出ると、GPSで印された情報を元にオフィスの立ち並ぶ西新宿の一角へ足早に向かった―――。