「美琴さん、待って下さい!」 「え?」 相良美琴、それがあたしの名前であった。 家を出てすぐに誰かに呼び止められるなんて思っていなかった。 しかも、知らない声なのだから本当に自分が呼ばれたのか疑ってしまったほどだ。 声のした方向を向いてみると、そこには……… 全身が透けている男の子が立っていた。 いや、立っているという表現は合っているのだろうか……? だって、足の方は極端に透けているのでよく分からない。 むしろ足はあるのだろうかと思うほどだ。