心底、不思議。~不機嫌カナタとゴキゲンみーちゃん~

―――ああ、そうこうしているうちに、帰って来たようです。


私はカーテンの陰に隠れて、こっそりと様子を窺います。



あらあら、手なんか繋いじゃって。

まったく、仲がよろしいこと。

どうやら私の作戦は成功したようです。


お兄ちゃんが、私には向けたこともないほど、優しい笑顔でミユおねえちゃんを見つめています。

ちょっと妬けちゃうなあ………でも、ミユおねえちゃんなら、許してあげる。


だって、ミユおねえちゃんは、言葉にできなくらい幸せそうに、ほんわりと可愛く微笑んで、お兄ちゃんをまっすぐ見上げていますから。


近づいてくると、二人は、どちらからともなく手を離しました。


きっと、家族に見られるのが恥ずかしいんですね。


まったくもう、純粋で、かわいい二人です。



名残惜しそうに手を振りながら別れる二人。


階下の玄関が開く音。



私は頬が緩むのを必死で我慢しながら、ぱたぱたと階段を駆け下ります。


ほんのり赤らんでいる、お兄ちゃんの顔を見るために。