―――別に、お詫びなんてしてくれなくても。


あたしは、カナタとこうして二人で歩けるだけで、充分幸せなんだから。



………なんてセリフが、ぽっと思い浮かんだんだけど。


恥ずかしすぎるので、却下。



言葉にできない代わりに、気持ちを指先にこめて、あたしはカナタの手をぎゅっと握り返した。



「もちろん、おごってくれるんだよね?」



精一杯の虚勢をこめてにやりと笑いかけると、カナタもにっと笑った。



「みーちゃんの肥満化に加担することになるのは癪だけど、しかたないね。

その代わり、明日から、散歩コースを長くするからね?」



「えーっ!? 鬼!!」



「何とでも言いなよ。ほら、みーちゃん、どの味にするの?」



「え、えーっと、チョコ……いや、ストロベリー、あっ、やっぱりバニラかな……」



カナタは「欲張りみーちゃん」と呆れたように笑った。