カナタの気分が回復したところで、あたしたちはベンチから離れた。




カナタの顔色はすっかり良くなっていたけど、どことなく足下がふらついているように見える。




心配しながら見ていると、小さな段差のところで、軽くつまづいた。





いつも冷静沈着なカナタらしくないミスだ。



きっとまだ頭がぼんやりして、身体に力が入らないに違いない。





もとをただせば、あたしがコーヒーカップを高速回転させたり、お化け屋敷に連れこんだりしたせい。





うーん、ごめんね、カナタ。








「カナタ、大丈夫?


転んだら危ないから、手、つなごっか」







あたしが右手を差し出すと、カナタは一瞬びっくりしたように目を見開いてから、「うん」と答えて手を載せてきた。