「ねぇ、カナタ〜。

まだ怒ってんの〜………?」






カナタの部屋。




あたしは旅行から帰ってきて、ここに直行した。




なぜなら、カナタが激怒しているであろうことが容易に想像できたから。





それで、お土産を持って、ご機嫌とりにお伺いしているわけ。






学習机の椅子に座るまっすぐに伸びた背中に向かって、あたしは土産話をしていたんだけど、カナタは「ふうん」「へえ」と素っ気ない返事をするだけ。






それで、あたしは、怒っているのか、って訊いたんだけど。






カナタは背筋をぴんと伸ばしたまま、くるりと振り返った。