ーーーそんなの聞いてない。



僕は内心、憤慨した。





なぜみーちゃんは、その情報を知らせておいてくれなかったのか。




旅行が決まった段階で、即座に僕に報告して然るべきではないか。






今日の今日では、いきなりすぎる。




僕にも心の準備ってものが必要なのに。






まったく、みーちゃんときたら、相変わらず見上げたド阿呆だ。






しかし、そんな僕の不愉快に気づくよしもなく、みーちゃん一家はそそくさと避暑ならぬ避寒のために南国へと旅立っていった。






ほんと、腹が立つ。




しかし、その苛立ちを向ける矛先がない。





当の本人が能天気な阿呆面で、南国の少しばかり暖かいだけの冬を謳歌しているからだ。






………あぁ。



まったく、どうしてくれようか。