「俺と澪、家族のこと」



「うん……」



忘れてたけど、陵の家には誰もいなかったんだよね。



澪ちゃんが風邪を引いたあの日。普通なら親が看病をするはずなのに
陵は私を呼んだ。



それだけで察しがつく。あぁ、陵の家は何かあるんだな。って。



「これから俺と澪が一緒にいることがあると思う。だからお前に協力してもらいてぇんだ」



「うん」



何があるのかはわからない。それでも、それでも私は
頼ってくれる人の、陵の役に立ちたいって思う。










「俺の親は病院の医院長なんだ。小谷総合病院、聞いたことねぇ?」




小谷総合病院……。きっと知らない人はいないんじゃないか。



今までの手術失敗歴がなく、その上天皇陛下の手術までも受け持ち
命を救った医院長夫妻。



百パーセントの成功率。



「知ってる……」



だから陵の家の部屋に入った時、医療品の匂いがしたのか。



あれは陵の親のものだったんだ。