「聞かねぇの?気づいてると思ったんだけど」



「何が?」



「なんで親に看病させねぇのかって」



そういう陵はなぜか寂しそうな、怒っているような顔をした。



聞こうかな、とは思ったんだけどね。



なんか、聞いちゃダメかなぁとか思っちゃって。



「んー。陵が言いたいときでいいよ」



「そっか」



フッと。今にも泣きそうな顔をして、笑った。



ねぇ、陵は何を抱えているの?



手を伸ばせば届く距離にいるのに。



“ねぇ”って言えば“ん?”って会話できる距離にいるのに。





こんなにも遠く感じるのは……なんでだろう。