「とにかくもう行かなくちゃいけないわ!

 じゃ!お二人とも検討を祈る!」


戦場に向かう兵士のごとく、かっこいい敬礼をした茜さんは、

必死に止めようとする白井を軽々とよけて、さっそうと白井家を後にした。



「……」


「……」


しーんと静まり返った、玄関。


ふと、隣を見ると世界の終りの果てみたいな顔をして、

白井がびくり、と顔を上げた。


別に悪いことをしたわけではないのに、

その過剰な反応に、罰が悪くなってしまう。



「おねーちゃんごはんー」



そんな空気を打ち破ったのは、

ガキ───改め翔太だった。