私のことをあんなにからかって、
意地悪そうにゆがめていた口元は、すやすやと無垢な子供みたい。
「わぁ……綺麗な顔だなぁ……」
女の子みたいに、白くて綺麗な肌。
閉じられた瞳に縁どるまつ毛は何もしていないのに、とっても長い。
さらり、と柔らかそうな黒髪が頬に降りかかるたび、
御影くんはん、と小さくうめき声をあげて、ウザったそうに眉をひそめる。
御影くんのことはよく知らないけれど、
昼間も告白されていたし、きっとモテる人なんだろうな。
って、何を考えてるの私はっ。
けれど普段なら、こんなに男の人が近くにいたら怖くて、
息もできないくらいなのに、……不思議。
ちょっぴり恥ずかしいけれど、そんなに怖くない。



