やっぱり、こんなところからじゃ……聞こえない、よね。 バクバク心臓が脈を打つ。 震えて、怖くて、恥ずかしい気持ちを抑え込むように、 私はくっと胸を手で押さえつけて、すり寄るように近づく。 あと、50センチ。 あと、40センチ。 ……あと、30センチ。 そこで、私の足はぴたりと止まってしまう。 「……はあ……」 いつの間にか、息を止めていたらしくて思いっきり、息を吐き出した。 しゃがんで、そっと御影くんの顔をのぞき見る。