テーブルにお皿を乗せて、順番に箸を配る。
御影くんの分はお母さんが仕事帰りに買ってきたらしい。
「はい、御影くんの箸」
「……ありがと」
私から箸を受け取ると、テーブルの上に乗せられたご飯を
なんというか、物珍しい、というか不思議そうな顔で見ていた。
「いっただきますー」
「いただきます」
「おなかへったー」
いつもと変わらない、ばらばらの掛け声にもう一つ控えめの声が聞こえる。
「……いただき、ます」
私は半ば緊張しながら、御影くんが箸を運ぶのを見る。
一応自信作の肉じゃがを箸で取ると、ゆっくりと口に運ぶ。



