「───大丈夫ですよ、ほら」 私は彼の服の袖を、ぎゅっと握りしめて見上げた。 かすかに、震えてしまう。 けれど、それをごまかすようにくっと手に力を込める。 「全然っ怖くないから。……だから、私の心配なんてしなくていいです。 もし困ったことがあれば、聞いてください」 「……そ」 御影くんはそっけなく、そう返す。 私は内心ほっとして、つかんだ彼の袖を離した。……よかった、震えていたのはばれなかったみたい。 御影くんは持った段ボールを2階に運ぶ途中、あ、と思い出したように声を上げた。