なんだ、こいつと思いながら俺はちかちかなり始めた信号に、 慌てて渡ろうと、足を進めたそのとき。 「───」 つん、と前のめりになった。 なんだ、と思ってもう一度下を向くと無垢な瞳がじーっとこちらを見たまま、 ズボンの端を握りしめたまま、離さない。 「……」 「……おい……。なに勝手に掴んでんだよ、ガキ」 「……」 「聞いてんの?俺に子守をするシュミは───」 そこまで言いかけて、俺は言葉を詰まらせる。