「う、わっ……」 予想外に重くて、私は持ち上げた瞬間、くらりと後ろに重心が持って行かれる。 ふらふらとした足取りに───あ、こける、目をつむったそのとき。 「───危な。無理しなくていいから、俺やる」 ふいに、上のほうから声がふりかかってきた。 温かくて大きな掌が私を後ろから抱きしめるような、支え方。 その状況に、私は一気に顔が赤くなってしまう。 「い、いい……です。で、できるから」