「あ、の……!」 ───ほら、やっぱり。 くすくす笑いたくなる衝動を抑えて、俺は首だけ振り返る。 彼女は───白井ゆりは、視線を上に、下に、左に、向けて。 それから、恥ずかしそうに、恥ずかしそうに、 「……助けてくれて…………、ありがとう」 頬を薄く染めて───小さく、そう、白百合の純潔をあらわすように、 微笑みながら、そういった。