「ゆり、行こう」


皐月くんはそっと私の手を握ると、揺れる───小さな黄色い花たちのもとへ。


ふわり、ふわりと揺れる花たちをかき分けて───あの、一筋だけ降り注ぐ、光の先へ。


そこにたどりつくと、なぜかそこだけ黄色い花が咲いていない。


皐月くんは握られていた手を離して、すっと湿った土を素手でかき分けはじめた。


ざ、ざとかき分けて行った先───ふと、皐月くんの手が止まる。



「……何かあるの?」



そう聞くと、皐月くんは土を払って───そこからのぞかせたのは、小さな缶だった。

それも、ちょうど手の平に収まるほどの。


そして、その缶を皐月くんが開けて───〝それ〟を取り出した。






「ほら、見つけた」





そういって、私の前に差し出した───それは。


それは、私があの時父に投げつけて───無くしてしまった、星のネックレス。