……さん、お父さん───お父さん。


そっか、最後まで───本当に最後まで、私の願いを聞いてくれた。


最後の、最後まで───私のために。



「っっ、お、とうさ……っ……!」



この景色をしっかりと目に焼き付けたいのに、うまく、見えない。

視界が、にじんで───うまく、言葉が、でない。


「───ゆり、ゆり見て」


そんな震える私の肩を抱き留めて、皐月くんはそっと指さした。

真っ暗だった空がだんだんと薄く───青紫色に染まり始める。


どこまでも続く、山々の間からこぼれるように温かな光が───そっと私の瞳に映し出される。



綺麗、なんて言葉では表せないような、心が震えるような───そんな光景。



差し込む太陽の光が、山々の隙間を抜けて───あのきらめく星に、一筋ふりかかる───。