「まだ、開かないで」 そう後ろで、皐月くんが囁く。 私は言われた通り、目を閉じたまま───こくりと頷く。 「もうちょっと、こっち」 「……ん」 促されるように、して、移動して─── 「いいよ」 皐月くんの声を聴いて───私は、そっと目を開いた。