「ねえ、おねーちゃんはお父さんのこと、好き?」
それは、突然だった。
模擬店で買ったクレープを落とさないように、とベンチに腰かけて、翔太が唐突に、そういった。
「……翔太?」
「ぼくねーおとうさん、よくしらないから、わかんないんだけどね」
そうだ、翔太はしらない。
生まれてくる頃───お父さんは、もうこの世にいなかったから。
翔太も、あたらしいお父さん欲しいって言うんだろう。
だって、まだ幼稚園児で5歳で、お父さんが恋しくなるときだってあるはず。
でも───そう、考えると、ますます苦しくなって思わずぎゅっと制服を握りしめた、そのとき。
「でも、おねーちゃんおとうさんのこと知ってるから……。
だから、おねーちゃんのいたいのきえたら、ぼくにもおとーさんのこと、おしえてね」
……そう、言ってくれた。



