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お母さんとのやりとりもままならないまま───学園祭初日が、やってきた。
軽やかな吹奏楽部の演奏と、大きな花火の音で盛大に開催される───学園祭。
初日は、実行委員として見回り班とステージセッティングを任されているので、
クラスの仕事は、水瀬くんに任せて、私は校内を回っていた。
賑やかに学園祭を楽しむ人たちが、幸せそうで───私は、苦しいけれど目を細めて微笑む。
あの時。
皐月くんは、私のなくしたネックレスと探してくれるといったけれど……。
嬉しかった、けれどそれ以上に、戸惑ってすらいた。
だって、何年も前に無くしたまま───今もなお帰ってこない、ネックレスが返ってくる?
そんなの、ありえない。
心の中ではそう思っていつつも、期待してしまう自分が情けなくて。
そう思って、目を伏せた、そのとき。
「───ゆり」



