『逢えなくなんかない』 ほら、やっぱり。 暗く、月明かりだけに照らされた道路の向こう側に、人影が、あった。 それは、だんだんと輪郭を現していく─── 『ネックレスは、俺が見つけるよ』 携帯に込めていた力が、するりと抜ける。 皐月くんは、私の目の前に立つと───私の頬に流れる、涙をすくい取って、言った。 「俺が、必ず見つけて見せるから───もう、泣くな」 その声は、まるで心の奥に沁み渡るように、広がっていくような、気がした。