あの時、もらった星のネックレスは、もう私の首には光っていない。
私が、なくしてしまった。
去っていく、お父さんの背中に投げつけて───言ったんだ。
『あんたなんかの娘になんて、生まれなければよかった!
人の約束も守らないような───そんな最低な父親───!
私は大っ嫌いだっっ!』
もう、お父さんは帰ってこない。
家の中で、じっと待っていても何時までも、帰ってこない。
お父さんは───この世に、いない。
「……ネック、レスなくしたから……もう、お父さんは……っ!
あ、えない……っもう、二度と……っ!
でもっ、逢えなくても……っ私は、守らなきゃ、お母さんを、翔太を……っ!
だから───っ」
『ゆり』
皐月くんの、低く透き通った声がした。
……あれ、おかしいな。
電話口から、聞こえてきたはずなのに……近くから、聞こえたような、気がした。



