しばらく、ゆりがじたばたするのを押さえていたりした、そのとき。



「───あらあら。


 お二人さんとも、朝からお熱いことね」




どこか、聞き覚えのある声。

まさか、まさかと思って声のした玄関の方を振り返ると───



「お、お、おおおお母さん!?」


「あらあら、いいのよゆり。別に恥ずかしがらなくても。

 お母さんそういうの理解あるほうだから」


くすくすと目を細めながら、微笑む───ゆりの母親、茜さんが立っていた。


2週間で戻ってくると言っていた茜さんは、


1か月ほど遅れて、我が家に帰ってきたのだった。