小さなリップ音の後、ゆっくり俺が離れると───ゆりは、固まったままじわじわと頬を赤らめていくのが見ていても分かった。


あーもう、ほんと可愛い。


なんでこんなに可愛いんだろ。


「なっ、さ、さ」


言葉になっていないゆりの声に、吹きそうになるのを我慢して、


「あれ、ゆり足りない?」


と意地悪く聞くと、ゆりはかあああっと顔を赤らめて、


「へ、ヘンタイ!」


「それはどうも」


「褒めてません」


「ゆりにそういわれるのはむしろ、好きな方かも」


「も、もう知らないっさっさと離して!学校行くから!」


「えーもうちょっといいじゃん」


ゆりの体の体温が上がっていくのが、抱きしめるとよくわかる。

それが可愛くて、ますます離してやりたくなくなる。