「ゆり、アレどこにやったっけ」


「あれ?」


朝。

いつものように、顔洗ってご飯を食べた後、

部屋で着替え終わって階段を下りると、ゆりがもうすでに制服姿で立っているのが見えた。


翔太が外で待っているのを確認して、俺はゆりに一歩近づいた。


「忘れ物なら、取ってきたら?まだ、時間あるよ」


まだ何も感づいていないゆりに、ニヤニヤしながら───俺はぐいっとゆりの腕をひぱった。




そして───





「ん、忘れ物」




と、ゆりの唇にそっと重ねる。