ぼんやりとしていた視界が、明瞭になっていく。
「大丈夫、白井さん」
隣から、そう声をかけられて首だけ声の方を向くと、
パイプ椅子に腰かけて、じっと私の顔を覗き込む、水瀬くんだった。
……あ……れ、私……?
ここって、……保健室?
なんで、と思いながら、体を起こすとその反動でずきっと頭が痛くなって、片手で頭を押さえた。
「無理に動かないほうがいいよ。
白井さん、覚えてない?」
「……おぼ、え……?」
「移動教室の時に、倒れたんだよ。で、俺がここまで運んできたわけ」
倒れた?私が?
あの時、全身の力が抜けて───水瀬くんの呼ぶ声が、聞こえてそのあと……そのあとの、記憶がまったくない。



