「あんまりそういう顔、水瀬以外に見せないほうがいいよ」 「……え?」 どうして、水瀬くんの名前がでるの。 ずきっと、甘い痛みじゃなくて───心をえぐられるような、痛みがまた、やってくる。 「言ったよね、俺。 ゆりのことが好きなのは、……嘘だって。 ゆりの男性恐怖症が治ったら、もう俺はゆりに近寄らないから」 皐月くんは、そういいながらまた、あの笑みをより一層深くする。 そう、お父さんが最後に見せた、あの───別れの、笑みを。