何も言わないで、ぎゅっと下のズボンを握りながら、振り返る。
そしちょうど───皐月くんの顔が、月明かりに照らされていて。
目が、合う。
それだけで、私の顔が熱くなっていって。
皐月くんは一瞬驚いたように、目を見開いた後、
「どうしたの?ちゃんとこっち見て」
くすくすと、からかうような口調で言ってくる。
「今は、無理」
「ふぅん、なんで?」
「し、知らないっ」
ああもう、なんで私はこんなことでいちいち反応しちゃうんだ。
こんなの、絶対私が……私が、皐月くんを好きだって……ばれちゃうよっ。
けれど、皐月くんは私の顔をじいっと見て、しばらく押し黙った。
なんだろう、と顔を見上げた時。
皐月くんはあの時と同じ、苦しそうなのに、無理やりに浮かべた笑みで言った。



