手に取ったネクタイは、水瀬くんに貸してもらった、チャックで調節できる簡単なネクタイじゃなくて、 本当に普通のネクタイだった。 ……ネクタイの結び方って、よくわからない。 一応襟首に通して、交差させて、くるりと巻いてみるけれど、できるのは形の悪いネクタイ。 「うー……」 慣れない手つきで、やっていると─── 「ばか、こうやってすんだよ」 いきなり、後ろから手が伸びてきた。 驚いて、後ろを振り返ると、皐月くんが私を後ろから抱きしめるような体形で私を、じっと見下ろしていて。