けれど、抱きかかえられるようにしているし、顔のすぐ隣には皐月くんの腕があって、
顔をそむけることも、うつむくこともできないで───
私は、真正面から皐月くんの顔を見上げる。
けれど、きっと皐月くんは気づかない。
暗がりのせいで、私の顔が───赤く染まっていることに。
「痛いとこ、ある」
「……な、い」
「けがしたらどうすんの。アホ」
それは、皐月くんだって同じじゃない。
私をかばったせいで、けがなんてしたら、どうするの。
そんな言葉を口にすることも、できなくなる。
皐月くんは小さくため息をついて、私をじっと見つめると囁くような声で、言った。
「……あんまり、心配させんな」
「っっ……」
また、また、まただ。
また、痛い、痛い、はち切れてしまいそうなほど───心臓が、痛い。



