「……は?」
眠たそうにあくびを漏らしながら、お母さんが、
「ん?」
と不思議そうに、首をひねりながら私に聞き返した。いや、私が聞きたい。
「今───なんて?」
「いや、だから。御影さんとこの息子さんがうちに来るわよ」
「……御影さんって?」
「勤め先の上司。親しくさせてもらっている方なんだけど、急に海外出張することになっちゃって」
「…………なんでうちが?」
「いや、身寄りがなくって息子を海外に連れて行くわけにもいかないからって。
ならうち部屋も余っているし、いいかなーって」
「いいかなーってよくない!」
がん!と私が机をたたくと、お母さんは特に驚いた様子も見せず、口を尖らせて、
「だってもー言っちゃったもん」
と、軽口をたたいた。



