一階に誰もいなかったので、不用心かなと思い、私は勉強道具を取りに行って、
しーんと静まり返ったリビングのテーブルで勉強し始めた。
かち、かち、かち。
時計が秒針を刻む音が、響き渡る。
さらさらと問題を解きながら───ふと、皐月くんの顔が思い浮かんで、シャーペンが止まる。
……す、……私が……皐月くんを……す、す……。
口に出すことどころか、考えただけでも恥ずかしさで顔が熱くなる。
だって、いつも意地悪で、からかってばかりで、でもたまに優しくて。
強がっているけれど、本当は弱くて。
安心したように柔らかくする表情を見るたびに───心が、大きく脈打って。
「……す、……き……?」
私は……皐月くんが……?
「ぁうう……っ」
その先を考えるのが恥ずかしくて、私は思わずテーブルに伏せて、
誰もいないのに、赤くなった顔を隠す。……私が、皐月くんを?
かち、かち、かち。
さっきから聞こえている秒針が、やたらと早く進んでいるように聞こえるのは、私がドキドキしているからなのかな。
「……すき……ってなに」
ぎゅううっと胸元を握りしめて、考えてみても───答えはでなかった。



