皐月くんは、あれを嘘だと言った。 私を好きだと言ってくれたことを───嘘だと。 けれど、触れた唇は震えていて。 月明かりに淡く照らされた、皐月くんの表情はあまりに苦しそうで。 私は、皐月くんを傷つけているのだと、知った。 ぎゅうっと締め付けられるみたいに、痛くて。 痛くて、痛くて、しょうがなくて。 皐月くんに、何か言わなくちゃと思った。 何か、言えることがある。 でも、頭を駆け巡る言葉は───すべて、無駄な気がして。 結局、私は何も言えなかった。